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公職選挙法

 民主主義国のなかで、日本の選挙活動に対する規制は極端に厳しい。まるで各候補者が掲げる政策の詳細が、有権者にしっかり伝わらないうちに選挙を済ませてしまおうとしているかのようだ。
 公職選挙法は、事前運動を禁止している。三条市長選に関しても、告示前の現時点で知人に「○○さんをよろしくね」と頼むことのほか、主張や政策を知らせるちらしや名刺を渡すことすら、厳密には禁止されている。演説会の開催を知らせる周知ポスターもベニヤ板などで裏打ちしたものはだめ。裏打ちしていなくても、任期満了日の6か月前から投票日まで禁止となっている。
 告示後も戸別訪問は禁止。市長選や市議選では法定ちらしもないため、たとえマニフェストを作っても、有権者に手渡すことはできない。選挙管理委員会が全戸に配る「選挙公報」の限られたスペースには、せいぜい候補の略歴とスローガン程度しか載せられない。
 立会演説会もない。候補が有権者に政策を訴えるのは個人演説会と街頭演説だけ。その個人演説会も、開催日時や会場を知らせるちらしを配ることは禁止。だれが、どこで演説会を開くのか、有権者にきちんと伝えられないようになっている。
 公選法通りにやっていては、だれがどんな政策を掲げて立候補しているのか分からないまま、選挙が終わってしまう。どの候補が何を主張しているのか、この選挙は何が争点なのか、有権者に伝わらないようにしているのだから、投票率が上がるわけがない。「○日は投票日です。棄権しないように」とティッシュや風船を配って呼びかけるくらいなら、公選法を見直した方が投票率アップに結びつく。
 憲法では「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と定めながら、個別的自衛権は別だという理屈で自衛隊が存在している。選挙も事前運動は禁止と定めながら、政治活動は別だという理屈で、現実には各陣営が運動を進めている。
 事前運動などを禁止する理由は、各候補が同時に運動を開始する公平な選挙とすること、金のかからない選挙とすることなど。金権選挙がはびこっていたころの反動なのだろう。
 こうした問題のかなりの部分を解決できる道具がインターネット。さほどの金のかけずに候補者は有権者に直接、瞬時に多様な情報を発信できる。有権者も自宅や職場で各候補の主張をチェックでき、疑問点を問い合わせることもできる。他の民主主義国では盛んに活用されている。
 米国では有権者600万人のアドレスリストを確保したブッシュ陣営がタイムリーなメールを発信し続けた。韓国でも盧武鉉(ノ・ムヒョン)陣営のウェブには1日40万件のアクセスと7000件の書き込みがあったという。
 日本は、インターネット上の政治活動は許されるが、選挙活用は禁止。なぜ禁止なのか、さっぱり分からない。
 米英では戸別訪問も、民主主義を機能させる大事な活動として行われている。金権選挙にどっぷり使った、後ろ暗さのある議員が国会からいなくなるまで、公選法改正は無理なのだろうか。(スキップビート23 10月26日付け三条新聞)

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